まだ3月くらいの頃の話。
「カマキリの卵見つけたけど、切っちゃったからもう捨てるしかないよね?」と母に急に聞かれた時は驚いた。
どうやら、庭でナンテンの木を手入れ中、切り捨てた枝をまとめてゴミ袋に入れる時に発見したのだという。
急いで外に出て確認。
私は小さい時からカマキリが好きで、よく育てたものだが、卵を見つけたことはほとんどないのだ。
うん、まぎれもなくカマキリの卵。
オオカマキリだろうか?チョウセンカマキリだろうか?
卵慣れしていいないのでさすがに見分けが付かない。
枝を切ってしまったから、このまま卵も死んでしまうだろうと母は考えたらしいが、
「そんなことはない。枯れた枝でも問題ないよ」と私は言って、捨てられそうだった無数のいのちを救出した。
温かい室内に置いておけば温度を感知して一斉に生まれてくるらしいが、
今孵化させてもエサがない。
玄人はヨーグルト等の人工えさを用いてどんな季節でも育ててしまうらしいが、
さすがにそんな技術も覚悟もないので、庭の隅の茂みのところにそっと戻しておいた。
ここなら外敵に気づかれにくい。
もう少し温かくなったら、無事孵化してくれるだろう。
大きくなって庭でまた再開することがあれば、
今度は家にお迎えして、いつものように虫かごで飼ってみようと思う。